三月末から四月上旬にかけて、約二週間ほど北海道天塩郡豊富町、豊富温泉へ湯治に行ってきました。豊富温泉は、アトピー性皮膚炎や乾癬に対して治療効果があることで大変有名な温泉です。アトピーや脱ステロイド関連の治療で有名な藤澤重樹医師も「世界にも類を見ない北の大地が誇る温泉」と讃えている場所です。調べてみると、ステロイドのリバウンドに悩む方もここで症状が軽減されたという情報があり、私も行ってみることにしました。丁度、このブログではない目的の書き物をしているタイミングでもあったので、滞在中にそれも進めることができればとも考えていました。このレポートを書くことも目的の一つでした。

今回は成田空港→新千歳空港→札幌→豊富温泉のルートで向かいました。稚内空港からのほうが断然早いのですが、航空券の値段が大きく変わります。そのため、新千歳空港からのルートを選びました。札幌〜豊富温泉間は電車かバスでの移動になります。しかし、このルートは、東京からだと早朝に家を出ても、到着へ夕方になります。症状が重い方には、この移動時間はかなり大きな負担になるかと思います。私の場合は、症状は大分落ち着いていたので、多少時間がかかっても大丈夫でした。

宿泊先にはホテルウインを選びました。ウィークリーマンション型のホテルです。豊富温泉の宿の中では比較的低価格で、さらにインターネット環境が整っているので、このホテルを選びました。書き物のための調べものにも、インターネットは必要でした。後からホテルウインより料金が安い湯快宿でもWi-Fiが使えると聞きました。しかし、ホテルウインではWi-Fiだけではなく有線でのインターネット接続も可能でしたので、やはりこちらを選んで良かったと思います。7泊以上でしたので、ウィークリープランで、素泊まり1泊3,800円でした。しかし少々壁が薄いので、耳栓を持っていけば良かったと思いました。現地では耳栓を扱っているお店を見つけることができませんでした。

部屋の中はこんな感じです。建物全体が清潔感がありました。

ホテルの前では、近くに住んでいる可愛い猫たちがよく出迎えてくれました。とても人懐っこくて、癒されます。

温泉は、毎日、公衆浴場のふれあいセンターへ通いました。利用券は1日券で510円ですが、8枚綴りの回数券は3,570円で割安になります。
豊富温泉の浴場は何箇所かありますが、泉質は2種類あります。豊富温泉最大の特徴である、原油が含まれているという点は、どちらも共通しています。
①含よう素-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性高張性温泉)
②含よう素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(弱アルカリ性高張性冷鉱泉)
上記の2種類になりますが、②の重曹泉はホテル豊富のみのようです。
泉質・効能
異なる泉質を試してみるため、一度だけホテル豊富の浴場を利用しましたが、それ以外はふれあいセンターの浴場を利用していました。ほぼ毎日1回30〜60分、一日2回のペースで入浴しました。ふれあいセンターの温泉コンシェルジュの方から、多く入れば効果が出るというわけではないという説明を受けました。

食事は7.8割は自炊にしました。それ以外はふれあいセンター内の食堂と、ニュー温泉閣の食堂を利用しました。温泉街では食事できる場所はあまり多くありません。豊富駅付近の市街地まで出れば、色々な飲食店はあります。

ふれあいセンター内の食堂では、人気のジンギスカンを食べました。お肉がとても新鮮で、これまでに食べたジンギスカンで一番美味しかったです。

ニュー温泉閣ではエゾ鹿肉の餃子定食なんて珍しいメニューがありました。エゾ鹿肉はクセがなくて食べやすく、とても美味しかったです。

私の自炊は、連日ジンギスカンとなってしまいました。北海道らしさを楽しんだし、美味しいのでそれは良いのですが、スーパーで安くなっていた味付きジンギスカン用マトン1kgはなかなか消費しきれず、毎日夕飯はジンギスカンとなってしまいました。他に味付きエゾ鹿肉も安く買えたので、エゾ鹿肉版ジンギスカンも楽しみました。豊富温泉付近ではエゾ鹿肉を扱っているお店が多かったです。夕飯以外のときは、主に卵料理や納豆、魚介類などを食べていました。持って行った成城石井のインスタント味噌汁もよく飲みました。ニュー温泉閣では天然酵母パンやおにぎり、お惣菜も販売されていたので、何度か利用しました。

食材の多くは、市街地のスーパーで購入しました。市街地へはバスに乗って出ることになりますが、雪が降っていない時期であれば、特産品販売所やカフェ、多目的スペースのある湯の杜ぽっけで自転車を借りて行くこともできます。徒歩ではちょっと辛い距離です。
豊富町では、4月でもよく雪が降っていましたので、私は自転車を借りることはできませんでした。

湯の杜ぽっけでは自然食品を多く扱っています。しかし生鮮食品はほとんど扱われていないため、自炊のための食材はスーパーで購入することになりました。有機野菜など、食材にこだわる方はあらかじめ発送しておくなどの準備が必要になります。

豊富温泉付近のお勧めスポットを2つご紹介します。

まず1つ目は『Cafe Moo-Moo』です。ふれあいセンターで知り合った地元の方に車で連れていっていただきました。車が無ければ行くのは大変な、牧草地に隣接した場所にあります。豊富町ならではのユニークな立地です。店内は温かみのある雰囲気です。食事もできますし、おしゃれなスイーツメニューも充実しています。私はほうじ茶プリンを食べましたが、あんこや白玉などまで乗っていて、贅沢感がありました。ガパオライスや鹿肉丼などが食べられる日もあるようです。他の場所ではちょっとできない感覚を味わえると思います。

2つ目は『cafe&stay わが家』です。オーナーさんはアトピー治療のために豊富町に移住されてきた方なのだそうです。一階はカフェ、二回はシェアハウスになっているようです。お洒落で落ち着いた店内には、ヘルスケア関連や精神世界系などさまざまな本が並んでいました。餅ケーキや餅ピザなど、さまざまな餅を使用したメニューを楽しむことができます。私は餅ピザを食べました。美味しかったです。食べてみたいメニューが色々ありました。

私はアイヌに関心があるので兜沼郷土資料室にも行ってみたのですが、開室期間は5月から10月だったようで、見ることができませんでした。豊富町付近は冬は積雪のため、入れないスポットが結構あるようです。替わりに近くの幌延町の郷土資料館に行ってみました。こちらは入ることはできたのですが、アイヌ関連の資料はあまり多くはなかったです。

川島旅館のお食事が美味しそうだったのですが、残念ながら宿泊客しか食べることができませんでした。後から、1泊くらいすればよかったと思いました。しかし、売店で売られている「湯あがりプリン」は食べることができました。卵を使わずに作られているのが特徴で、クリーミーな食感がとても良かったです。

ヨガインストラクターのまなみん先生がニュー温泉閣で開いている教室へも一度行ってみました。私が参加したのはストレッチーズの教室でした。ストレッチーズとは、伸縮性のある布を使うエクササイズです。まなみん先生の指導はわかりやすく、全身をよくほぐすことができました。

肝心の湯治の成果はというと、こんな感じです。初日、一度入っただけで症状が軽くなって驚いたのですが、2.3日すると湿疹が増えてきました。こうした好転反応は多くの人に現れるそうです。しかし、湯治を終えるころには湿疹は大分治まり、湯治開始前より、かなり肌の潤いがある状態になりました。画像1枚目は湯治を始めて好転反応が出始めたころ、2枚目は湯治を終えて東京へ戻ってきた日のものです。

現在も、湯治開始前よりも良い状態が続いており、少しづつ完治へ向かっているように思います。温泉で他の皮膚病患者の方々にお話を聞きました。もう何度も湯治に来ている方が多かったです。温泉から帰るとまた症状が悪化するという方が多かったです。しかし、それでも一度来るとしばらくは症状が落ち着くので、何度も湯治に来て、日常生活の乗り切っているそうです。やはり完治させるには、生活そのものを変える必要があるかと思いますが、それでも辛い日々を乗り切る大きな力になってる場所なのだなと思いました。

しかし、豊富町の美しい景色を見ると、心が落ち着きます。町の人たちもとても親切です。私はもう湯治に来る必要がなくなるようにしっかり皮膚炎を治したいと思います。次は湯治ではなく、観光と休養のためにここに訪れたいと強く思いました。