ステロイドのリバウンドについて書かれた多くの書籍やサイトなどの情報を読んでいると、リバウンド発症が起きるかどうか、起きたあとの症状の重さ、発症までのステロイド使用期間と使用量など、個人差が非常に大きいように思われます。
個人差の要因の一つには、ミトコンドリア量の個人差があるのではないかと思いました。
安保徹氏は、ステロイド剤がなぜ炎症を抑えるのかということについて、ステロイド剤がミトコンドリアのエネルギー生成を止める形で炎症を抑えていると説明しています。
しかし、以前に触れた安保氏の「酸化コレステロール仮説」の件もあったので、実際にそのような研究結果があるのかどうか調べたところ、それに関連する記事を見つけることができました。内容を要約すると「有酸素運動試験の結果、コルチコステロイドを投与された患者における乳酸塩の有意な過剰産生が示されており、これらの患者においてミトコンドリア酵素活性は有意に減少していた。慢性的なコルチコステロイド投与が骨格筋におけるミトコンドリア機能障害および酸化的損傷を誘発することを示唆している」というものです。
Chronic corticosteroid administration causes mitochondrial dysfunction in skeletal muscle.
人間は遺伝的にミトコンドリアの総量の個人差がかなり大きいようです。生来、速筋(白筋)と遅筋(赤筋)の比率は個人差が大きいそうですが、ミトコンドリアは遅筋に多く含まれています。つまり、ステロイド剤からのミトコンドリアへの影響は、遅筋を多く持っている人ほど、大きくなるのではないかと思います。活性酸素は炎症反応を活性化します。ミトコンドリアは恒常的に活性酸素を産生していますが、損傷したミトコンドリアは一層多くの活性酸素を産生します。
ステロイド剤を使用することでエネルギー産生が抑えられた結果、炎症は一時的に非活性化するが、その後ステロイド剤の影響で酸化損傷したミトコンドリアから多くの活性酸素が産生され、それにより再び炎症が活性化されると考えられます。そして遅筋の多い人ほど、それは顕著に現れるのではないでしょうか。これがステロイド剤からの影響の個人差の一つの大きな要因なのではないかと思います。
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