私は格闘技観戦や格闘漫画が大好きです。私は子供の頃に伝統派空手を習っていたことがあり、また、昔から喧嘩シーンの多いヤンキー漫画が好きでした。そうしたことから、自然に格闘技全般に興味を持つようになりました。特に、前田日明氏が主催する格闘技イベント『THE OUTSIDER』が大好きで、DVDもすべて観ました。

現在、私がとても楽しみにしている、ヤングマガジンで連載中の『喧嘩稼業』という作品があります。『幕張』『泣くようぐいす』などの作品で知られる木多康昭先生による格闘技漫画です。『喧嘩稼業』は『喧嘩商売』の続編になります。

特定の格闘技について描かれる作品ではなく、喧嘩という言葉がタイトルにあるように、なんでもアリでの異種格闘技戦の作品です。このようなテーマの作品といえば、特に有名な『グラップラー刃牙』を思い出す人は多いのではないでしょうか。『喧嘩稼業』は『グラップラー刃牙』と比べると、人物のバックグラウンド、戦闘シーンやキャラクターの心理などの描写が細かい印象です。「あくまで漫画だから」という部分もありますが、それでもリアリティを感じさせられる描写が魅力的です。

『喧嘩稼業』と陰陽トーナメントについては、こちらの公式動画を観るとイメージしやすくなると思います。

ここから先は、まだ単行本に載っていないネタバレを含む話になるので、ネタバレを見たくない方は読まないようにしてください。

現在、作中では日本人格闘家16人が参戦する「陰陽トーナメント」が進行中です。ファンの間では、インターネット上などでトーナメントの勝敗予想が過熱しています。ヤングマガジン誌上では、第5試合の芝原剛盛 VS 上杉均がもう少しで決着が着きそうなところです。

私もトーナメントが始まる前から勝敗予想をしていたのですが、身近にこの作品のファンが少なく、予想を話せる相手があまり居ませんでした。せっかくですので、分かる人は限られますが、今回は私の予想を書いてみようと思います。読んで興味が湧いたら、ぜひ漫画を読んでみてください。

まず、インターネット上の予想を読むと、格闘技の種類や、キャラクターそれぞれの強さや好き嫌いを基に予想を立てる人が多い印象です。しかし、正確に結果を予想するには、最強の格闘技とは何かということを考えるより、作者の思惑を掴むことが重要になると思います。プレゼントを贈る場合、相手に喜んでもらうには、贈る相手の心理を考えることが大事なのと同じですね。

そうして考えると、すでにかなり伏線が登場しているし、作品を面白い方向に持っていこうとする作者の意図を汲めば、大体予想はつくのではないかと思います。少々偉そうですが。しかし、第4試合までの私の予想は当たりました。後出しになるので、先に予想していたと証明することはできませんが(笑)。

しかし、どう考えて当たったのかを、少し書いてみます。ポイントを2つ挙げます。
①ずっとおあずけ状態になっていた、主人公十兵衛とライバル工藤優作の対決をこれ以上先延ばしにするとは思えない。先延ばしにして予想を裏切るのも面白いかもしれないが、しかし期待を裏切られたことでがっかりさせられる読者のほうが多いのではないか。
②『喧嘩商売』の序盤から描かれてきた、入江文学と田島彬の因縁についても、消化をこれ以上先延ばしにするとは思えない。木多先生の遅筆を思えば、なおさらである。

この2点から第1試合の工藤優作 VS 梶原修人は工藤の勝利。
第2試合の佐藤十兵衛 VS 佐川徳夫は十兵衛の勝利。
第3試合の入江文学 VS 櫻井裕章は入江の勝利。

このような予想を導き出していました。そして、すべて的中しました。

第4試合の金隆山康隆 VS 川口夢人について。これも予想通り金隆山の勝利でした。843勝0敗0休という史上最強の力士で、さらに困難なハードルの乗り越え出場できることとなったという流れを考えると、あっさり負けさせるとは思えなかったからです。川口に対してもかなり力を入れて設定が作られたキャラクターという印象はありましたが、川口は田島との因縁はなく、作品として見てみると、川口が勝ち上がる必然性が薄いように思いました。

そして現在進行中の第5試合の芝原剛盛 VS 上杉均ですが、私は芝原勝利と予想しています。トーナメント主催者の田島が、余命僅かの芝原を出場させるために、トーナメント開催を急いだのですから、そこまでの重要キャラを早い段階で負けさせるということはないのではないかと考えました。

第6試合の関修一郎 VS 佐川睦夫は佐川勝利と予想。これは入江文学の「俺に言わせれば関の命懸けはすごく一生懸命に頑張るぐらいの事だ」という言葉から考えました。しかし、二人とも田島との因縁は薄いので、トーナメント優勝はどちらもまず考えられないと思います。

第7試合の三代川祐介 VS 反町隆広は反町勝利と予想。トーナメント前の会見で、里見と反町のやりとりの様子が描かれています。無駄にこのようなシーンが挟まれているとは思えないので、これは里見と反町が今後なにかしら関係を持つということを想定してのことと予想します。おそらく、反町と里見が戦うことになると思われるので、この試合は反町勝利となると思います。

第8試合の里見賢治 VS カブトは、第7試合のところで挙げた理由により里見勝利と予想。また、カブトも田島との因縁がないということもあります。しかし、里見はトーナメント前の会見後に、田島の演技に気づいていない描写があります。1、2回戦を勝ち上がることはあっても、優勝は無いと予想します。

私はストーリー的に考えて、田島との因縁が深いキャラが優勝するのが、盛り上がる展開だと、木多先生は考えているのではないかと思います。そうなると、決勝は入江文学 VS 芝原剛盛になると予想しています。そして優勝は入江文学となるのではないかと思います。

2回戦の工藤優作 VS 佐藤十兵衛は十兵衛勝利と予想。ここで十兵衛が負けたら、また十兵衛が雪辱戦を目指す展開となりますが、そんなに何度も工藤戦を描くとはちょっと考えられません。よって十兵衛勝利となるでしょう。

2回戦の入江文学 VS 金隆山康隆は、金隆山が死亡したので入江文学不戦勝

準決勝、佐藤十兵衛 VS 入江文学は、十兵衛も田島との因縁が薄いので、入江文学勝利と予想。もしかすると、十兵衛は工藤との激戦で、戦える状態ではなくなる展開もあるかもしれません。

そうなると、入江文学は決勝までの間にかなり休んでいられることになりますね。それで、ボロボロになって勝ち上がってくる芝原にも勝てるということになるかもしれません。

「腕が折れた入江文学が決勝まで勝ち上がれるものだろうか?」とは当然考えましたが、2回戦、準決勝が不戦勝となれば、考えられることです。

逆ブロックは、芝原が決勝まで勝ち上がってくると考えていると先に説明しました。その説明に加え、さらに追加の根拠としては、芝原に着いているドクター後藤のドーピング薬がまだ登場していないという点です(病気でも戦えるようになる薬以外のもの)。金田にあんな強力な薬を準備していた後藤が再び強力な薬を準備していないということはないのではないかと考えています。

よって、2回戦の芝原剛盛 VS 佐川睦夫は芝原勝利と予想。ドーピングで1回戦のダメージも回復。

2回戦の里見賢治 VS 反町隆広は里見勝利と予想。これまで里見賢治が強キャラであるという説明のエピソードは多く描かれており、逆に反町は生野勘助に苦戦した印象が強く残る描かれ方がされており、私は反町は勝ち上がるキャラとして作られていないと考えます。

そして準決勝の芝原剛盛 VS 里見賢治は、芝原勝利と予想。現時点で里見が田島の演技に気づいていないということからすれば、田島に負ける気配濃厚の里見が勝ち残る展開にはならないのではないかと考えました。

決勝の入江文学 VS 芝原剛盛は入江勝利。そして決勝後の入江文学 VS 田島彬は、入江は善戦するもの負け。それもかなり悲惨な負け方になると予想。それにより、十兵衛が打倒田島を目指す世界編に突入、となるのでは。木多先生は、世界編の構想があることは公言しています。

トーナメント予想といえば、バーチャルYouTuber皇牙サキさんのチャンネルの『喧嘩商売』『喧嘩稼業』についてのトークで、トーナメント予想の話もされていました。トーナメントについて以外の話も含めて、楽しく聞かせていただきました。

多くのファンを熱くさせている『喧嘩稼業』、今後も目が離せません。